ツクルヒトVol.22 タイと日本のアートをつなぐ
2009年12月15日
web439 2009年6月16日 ものづくりの裏側にせまる ツクルヒトタイと日本のアートに出会う
Vol.22 タイと日本のアートをつなぐ「ヨシ・ギャラリー・BKK」

よしさんとタイの出会いは、約20年前にまでさかのぼる。当時、チェンマイで芸術を学ぶため留学した彼は、タイの美術界に衝撃を受ける。アートの専門誌もなければ、企画展をする個人ギャラリーもなく、作家は公的な場でしか作品を発表する機会がない。タイでは、一般人は芸術に関しての情報を入手し難いのが現状だった。
しかし、80年代後半からようやくタイのアーティストが日本でも紹介されるようになった。「FINE ART」という美術雑誌もようやく発刊された。その頃からタイでギャラリーをやりたいという構想が彼の中で芽生えはじめた。

タイでは、学校でゴッホやピカソを教えられることが少ない。美術教育が乏しいため、アートが全く身近にないのだ。美術館は圧倒的に少ない。ナショナルギャラリーは、審査に通れば誰でも展示できてしまう。国が認定した学芸員制度がない。一般的な書店に画集が置いていない。…と、「アートが売れる」土壌が整っていない事はたしかだ。
しかし、そんな今、ギャラリーをオープンしたよしさんは、タイの美術界に明るい未来をみている。
「今や、タイ人作家の世界での活躍は目覚ましいものがあります。タイのアーティストが世界の美術展に招待されるようになり、美術館買い上げになった作家も少なくない。13年前に計画が立ち上がった、「バンコクアート文化センター」もようやくオープンしました。世界の歴史的な美の巨匠の作品を集めた、タッシェン画集のタイ語版も出版されます。ギャラリーをオープンするにあたって、約70名のタイ人アーティストに会いましたが、作品の質は高いと思います」

ギャラリーの3階には、子供から大人までを対象にした美術図書室がある。元々絵本作家を目指していたよしさん。その時代から集めた画集や日本の美術雑誌、絵本など、約1600冊を揃えている。ここに来れば、タイの近タイの現代アーティストのカタログや作品リストがほとんど見られるといっても過言ではない。
「美術図書室を作るために、アーティストの方々から過去のカタログ等を集めました。タイではしっかり収集活動をしていないので、タイの東京芸大・シラパコン大学でさえ、カタログが揃っていないのが現状です。ここに来れば、タイのアーティストが一通り判るようになっています。日本の絵本も芸術として素晴らしいものがあります。それらを、タイや日本の子供たちに見せてあげたいです。タイのアート界を背負っていく、将来のコレクターの目を育てる事にもつながると考えています」
バンコクが、世界が注目するアート大国になる日は近い!
大橋 余志
YOSHI OHASHI
1971年生まれ。富山県出身。Yoshi galleryのオーナー、キュレーターを務める。タイの美術雑誌「FINE ART」のウェブ版で、タイのアートニュースを日本人向けに近々配信スタート予定。
YOSHI GALLERY BKK
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